日本翻訳連盟(JTF)

ISO規格の最新動向
ISO TC 37/SC 5ブリュッセル会合参加報告

2 通訳部会(WG 2)と通訳機器(WG 3)の規格について

ここでは、「JTF内ISO検討委員会」通訳部会として、特に関係するISO規格について取り上げ、昨年から今年までのWG 2、WG 3で扱っている規格について、それぞれの特色や傾向について簡潔に報告させていただきます。

2022年には、ISO 23155(通訳サービス 会議通訳)やISO 24019(同時通訳 遠隔プラットフォーム)という重要な規格がそれぞれ発行しています。

2023年、2024年にかけて、WG 2(Interpreting)、WG 3(Facilities and equipment for interpreting services)は、共に過去に発行した規格の定期な見直しの時期と重なっていることが大きな特色になっています。

以下に、WG 2、WG 3ごとのそれぞれの規格内容と特色について報告させていただきます。

通訳 ISO/TC 37/SC 5/WG 2 Interpreting

ISO 18841:2018 Interpreting services- General requirements and recommendationsが現在進行中です。

この規格は2018年に発行し、現在見直しの時期となり、見直しを進めているところです。会議通訳を含めた“通訳全般”に共通する条項の修正、追加等を議論しています。最終的な発行時期は、2026年8月頃を予定しています。

通訳機器 ISO/TC 37/SC 5/WG 3 Facilities and equipment for interpreting services

ISO 17651-1:2024 Simultaneous interpreting — Interpreters’ working environment — Part 1: Requirements and recommendations for permanent booths

ISO 17651-2:2024 Simultaneous interpreting — Interpreters’ working environment — Part 2: Requirements and recommendations for mobile booths

「固定式通訳ブース」や「移動式通訳ブース」について扱った規格の定期な改定の時期となっています。現在、既にこの2つのISOは発行段階まで進んでいます。

以下の規格については、これから各段階に進んでいく予定です;

ISO/CD 17651-3 Simultaneous interpreting — Interpreters’ working environment —Part 3: Requirements and recommendations for interpreting hubs

については、DIS投票がこれから開始します。

ISO/CD 17651-4 Simultaneous interpreting — Interpreters’ working environment — Part 4: Requirements and recommendations for signed language interpreting

について、作業原案(WD)の検討を開始しているところです。

最終的には、2027年2月頃に発行する予定で、進行しています。なおこの規格の各条項の中には、“手話通訳(Signed language interpreting)に関する条項が多く、かつ詳細な内容となるため、急遽、数少ない“日英手話通訳者”として活躍されている方に委員となっていただき、議論に参画していただいています。

上記の進行中の規格以外にも、定期な見直しを進めているISO規格もございますが、「JTF内ISO検討委員会」としては、対象としているものではないため、この場では割愛させていただいています。ご了承願います。

◎報告者

株式会社コングレ・グローバルコミュニケーションズ 代表取締役社長

村下 義男

日本翻訳連盟常務理事。2010年より株式会社コングレの通訳部・翻訳部門責任者。 その後2013年より、株式会社コングレ・グローバルコミュニケーションズに出向。2017年7月より現職。2015年よりJTFのISO検討委員会・通訳部会委員として参加。TC37 SC5国内委員

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