法人会員紹介:日本特許翻訳株式会社
高いセキュリティを誇る自社開発の翻訳支援ツールを提供
今回ご紹介するJTF法人会員は、日本特許翻訳株式会社です。
今回も、事業内容、特長、業界団体への入会動機、今後の展望などについて、JTFからの質問への同社の回答からお届けします。
●主な事業内容を教えてください。
日本特許翻訳株式会社は、2015年設立の翻訳支援サービスプロバイダです。memoQオンプレミス、NICTのオンプレミスNMTエンジン、自社オンプレミスLLMを統合した翻訳支援サービス「ProTranslator Neo」「ProTranslator EXPRESS」(ISO27001/27017認証取得)を、特許・医薬分野の翻訳会社様向けに提供しています。都内の自社データセンターにおいて自社従業員のみで運用しており、お客様のデータが一切社外に出ない高いセキュリティが特徴です。また、化学情報協会様のJAICI AutoTransなどの開発・運用も担当させていただいています。

主力サービスのProTranslator Neoでは、翻訳メモリ・用語ベースを参照するLLM翻訳技術を実用化しています。これにより、第一に、NMTに特有の誤り(訳抜け・湧き出し・数字や参照符号の誤記など)を修正できます。第二に、ファジーマッチメモリの差分を自動修正できます。第三に、指定タームベースの訳語を確実に訳文へ反映することで、訳揺れを防止し、QAチェック時の用語修正作業を大幅に簡略化しています。
●業界団体への入会の動機を教えてください。
会員企業様にひろく弊社の技術を知っていただく機会が得られると考え、入会させていただきました。入会してもう10年近くになりますが、入会して間もなくJTFジャーナルに連載の機会をいただいたことが、さまざまな翻訳会社様との交流のきっかけとなり、大変ありがたく思っています。
●貴社の製品・サービスにおける独自の強みや競争優位性を教えてください。
当社の強みは、生成AIとmemoQを統合した自社開発の翻訳支援ツールです。そこで用いる生成AIはクラウドサービスではなく自社オンプレミスで運用しており、高いセキュリティと低いランニングコストを両立しています。未公開特許の翻訳や医薬の申請書類のように高いセキュリティが求められる翻訳でも、データが社外に出ないことを担保できるため、安心してご利用いただけます。翻訳会社向けサービスをすべてオンプレミスで運用している事業者は、国内でも数少ないと自負しています。
●貴社が翻訳業界で目指す貢献や目標は何ですか?
npat日本特許翻訳は、国産の自社開発・自社運用の翻訳支援サービスと最先端のAI利用技術により、
- 高い翻訳生産性(smartTB™機能やLLMTransPro™機能)
- 自社LLMによる翻訳品質チェック機能「TransCheckPro™」を通じた翻訳品質管理の高度化
の二つの面から我が国の翻訳業界に貢献し、お客様が蓄積してきた翻訳資源をAIで高度に活用できる、持続的な翻訳業の実現を目指します。
●業界団体を通じて得たい情報、ネットワーク、またはサポートは何ですか?
翻訳者の皆様から、特にポストエディットの現場の実態を、対面で直接お聞きできる機会を希望しています。ツールを開発する立場として、実際に日々作業されている方々の声こそが改善の最大のヒントです。翻訳祭などでお会いした際には、ぜひ率直なご意見をお聞かせください。また、翻訳会社様の技術動向についても交流を深めるとともに、JTFジャーナルなどの機関誌を通じて業界動向をウォッチしてまいります。
●今後3~5年で貴社が注力する市場や事業展開の展望を教えてください。
翻訳は、1つの文書を正しく言語変換する仕事です。医薬・特許などの分野では、数字・記号・略語、参照符号、慣用的な言い回し、訳揺れの許されない用語統制といった厳密さが求められ、AI時代においても翻訳メモリや用語ベースの価値はますます高まっています。この「1文書を正確に翻訳する」という業態は、今後も持続可能であると考えています。
一方、知財業界では、複数の外国文書をまとめて読み解き、そこから示唆を得るという、検索・翻訳・分析を組み合わせたニーズが強く求められています。特許庁などが推進するIPランドスケープでは、数千件から十万件規模の日本・外国公報と論文を統合的に取得し、その母集団を観点分けして、どのプレイヤーがどの技術領域で開発・権利化を進めているかを分析することで、経営に資する特許・文献情報分析を行います。
弊社では、自社データベースとして構築した全世界特許約1.7億件と全世界文献約2.5億件から、技術テーマに応じた母集団の取得・観点分け・分析を全て自社サーバー上で完結させる新サービス「ProDiscover Neo」の開発を進めており、来年の事業展開を計画しています。このProDiscover Neoにおいても、母集団の特許・文献に対する用語統制という正規化前処理が重要であり、またクライアント企業にとってセキュリティが不可欠であるという点で、当社が翻訳支援で培ってきた技術・運用と高い親和性があります。
●業界関係者や読者に向けて、貴社のビジョンやメッセージを自由にお聞かせください。
「あなたにとって、翻訳におけるAIとは?」という問いに、弊社は明確にこう答えます。翻訳業界が蓄積してきた翻訳メモリ・用語ベースという翻訳資源は、AI時代においても非常に高い価値を持ち続けます。医薬・特許のように厳密さが求められる翻訳は、これらの翻訳資源をAIが参照することによってはじめて可能になるからです。
同時に、大きなパラダイムシフトが起こりつつあることも見逃せません。これまでの翻訳は「正確に翻訳した成果物を、人が正確に読み取る」ための営みでした。しかし今、正確に読み取るのはAIが担い、人間は読み取ったAIに自分の知りたい観点を投げかけて示唆を得る――たとえば技術課題の解決法に気づきを得る――という形態が現実のものとなりつつあります。翻訳資源という過去からの財産を大切にしながら、ProDiscover Neoをはじめ、この新しいパラダイムにも挑戦していく。翻訳者の皆様、翻訳会社の皆様と、この変化の時代をともに歩んでいければ幸いです。
| 法人概要 法人名:日本特許翻訳株式会社 設立年:2015年 所在地:〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町17-2 兜町第六葉山ビル4F 主な事業内容:翻訳支援サービス ProTranslator Neo, ProTranslator EXPRESS URL:https://npat.co.jp |
